老後のこと
日本は、平成19年以降、統計上の超高齢社会となり、少子化とも重なって、従来のように高齢者が子や孫に支援してもらいながら老後の暮らしを送ることが難しくなっているのが実情です。
行政サービスとしては、平成12年から介護保険制度が施行されましたが、これは高齢者の自立した生活を支援するための制度であって、高齢者の身体能力や判断能力を補うための制度ではありません。
法務サービスとしては、有償ではありますが、代理人が身体能力や判断能力がおとろえてしまった本人に代わって法律行為をする、後見制度というものがあります。後見制度は、平成12年から任意後見制度が施行されたことにより、老後のライフプラン(人生設計)に総合的に対応しうるものとなりました。具体的には次のとおりです。
①本人がまだ健康である場合
- 継続的見守り契約の締結(継続的見守りが開始)
- 任意後見契約の締結(将来、本人の能力が減退した時に発効)
- 遺言書の作成(法定事項に限定)
- 死後事務委任契約の締結(費用の清算・葬儀・遺品整理など)
②本人の身体能力が減退した場合
- 財産管理等委任契約の締結(個別の事情に応じた代理)
③本人の判断能力が減退した場合
- 任意後見契約の発効(財産管理・身上監護に関する代理)
④本人の行為を制限したり、代理権を拡大する必要がある場合
- 法定後見開始の申立て(取消権・包括的代理権などが付与)
⑤本人が死亡した場合
- 遺言の執行
- 死後事務委任契約の発効
なお、後見制度は、本人の能力を補完するだけでなく、本人の意思を可能なかぎり尊重する趣旨でもあります。身近に家族や親しい隣人はいてもこうした支援を期待できないという方も、後見制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。